はじめて買ったハンス J. ウェグナーのチェア
毎日座るダイニングチェア。デザインも様々でどれにしようか迷いますよね。
簡単に買い替えるものではないので、長く使えるお気に入りを取り入れることをおすすめしたいです。特にチェアは、身近な生活道具でありながらデザイナーの思いがこめられた作品であるともいえます。
チェアといえば生涯で500脚以上をデザインしたといわれる椅子の巨匠、ハンス J. ウェグナーの名前が思い浮かびます。
名作として高い評価を受けているウェグナーのデザイン。私も少しずつですが気に入ったものを購入しています。
今回はわが家で2脚使っているチェアの魅力をお話したいと思います。
わが家にやってきた憧れのチェア
新築時必要になり揃えたダイニングセットでしたが、当時は子どもが小さく、汚れや劣化を考えると長く使っていくことは難しいかなと、予算もそれほどかけられませんでした。
それでも気に入ったオーク材のテーブルにオーク材のカバーリングチェア、子ども用チェアを購入しました。
子ども用チェアは、ずっと使ってもらうつもりでトリップトラップチェアと飛騨高山で作られたものを選びましたが、カバーリングチェアよりもそちらの方が高価だった記憶…
そして子どものチェアをダイニングではなく学習机で使うようになったタイミングで、憧れのチェアを購入することに。
いつか家に置きたいと思っていたハンス J. ウェグナーのチェア。
ウェグナーのデザインしたチェアといえば CH24(Yチェア)が最も知られていますが、私が一番に家に置きたかったチェアは CH88 でした。
わが家はパイン材の床と天井・梁など、家の中に木の要素が多く、軽さを出せるCH88をぜひ手に入れたいと思っていました。
使ってみての感想は、座り心地がよく快適!
チェアに求めるものは人それぞれだと思いますが、私は気に入っています。
そして何より素敵なデザインのチェアが家にあり、いつでも眺められるのが幸せです。
子どもと一緒に4年使い、はじめは汚れ防止のため座面に平らなクッションをのせていましたが、お気に入りの張地が見えるように今はクッションなしで楽しんでいます。いずれは座面も交換できるので、安心。
CH88 とは
CH88は、自然素材である木材と工業製品であるスチールを美しく融合させたデザインが特徴のチェアです。
CH88のデザインが生まれたのは1955年のこと。スウェーデンのヘルシンボリという都市で行われた家具博覧会向けにハンス J. ウェグナーがデザインしたものでした。
当時はプロトタイプ(試作品)のみが製作され、量産品として発売されることはありませんでした。
量産されなかった理由のひとつとして、当時の技術では適正なコストで生産が出来なかったことが考えられています。
2014年、ハンス J. ウェグナーの生誕100周年を記念し、カール・ハンセン&サンがCH88として復刻。
手に入れられるようになったのはここ10年ほどのこと。復刻に感謝したいです!
CH88T と CH88P があります
アルファベットの違いは座面の違いです。
CH88Tは座面が木製板座のもの。
CH88Pは座面が皮革またはファブリック仕様のもの。
CH88Tの板座は、座面の掃除がしやすいので汚れがつきにくいのがいいところ。
また、掃除の時など、4脚まではスタッキングも可能。
(ファブリックや特にレザーのものは重ねた跡がつきやすいので、長時間のスタッキングはおすすめしません。)
CH88Pは程よい厚さの座面でクッション性があり、長時間座っても疲れにくく快適です。
板座に比べクッションの厚みの分だけ座面高が2㎝ほど高くなるため、選ぶときには実際に座り比べていただくことをおすすめします。
選べる材種はビーチ材とオーク材で、木目をいかしたソープ仕上げやオイル仕上げの他、カラー塗装も可能。
フレームもステンレススチールとブラックから選択できるので、モダンなコーディネートもできそうです。
CH88の好きなところ
ミニマルなフォルムですが独特の温かみがあります。
私が選んだのは、経年で味が出てきたダイニングテーブルに合わせてオーク材のオイル仕上げ。
座面はKvadrat ハリンダル65です。以下、個人的お気に入りポイント。
・ステンレススチールの細いフレームが伸びる後ろ姿。背中部分が空いているデザイン。
ダイニングコーナーをすっきり見せてくれる。
・曲げ木によるカーブが美しい無垢材の背もたれ。細いのにしっかり背中を支えます。
・なめらかに磨かれたアーム。位置もちょうどよくて肘が置きやすい。
アーム部分にはバッグなどをかけられます。
・デンマーク Kvadrat社の張地 ハリンダル65 の色合いと質感。
素材はニューウール70%とビスコース30%。表面にウールのチクチク感を少し感じますが、耐摩耗性にすぐれた生地。使うほどにチクチク感はなくなり、なめらかに育ってきたようです。
・座り心地のよさ。 腰椎を支え自然と姿勢を正してくれるので、背筋が伸びてパソコン作業などワークチェアに最適。
・座面が浅く立ち座りしやすいのでキッチンへの移動も楽々。
このような理由から、私はCH88Pを購入してよかったと思います。
購入前の注意点
CH88は脚が細く床との接地面積が小さいため、脚先に重さがかかりやすく床に跡がつくことがあります。
底部にフェルトを貼っても使っているうちにすぐ取れてしまうのが悩みでもあります。
防止策としてはダイニングセットの下にラグを敷くか、注文時にフェルト仕様にすることです。
フェルト仕様はプラス料金になりますが、購入後に交換はできないため、床の跡が気になる場合にはおすすめです。また受注生産のため納期は6ヶ月ほどかかります。
脚先交換不可のため、フェルト仕様にしなかったわが家はこのまま使っていくことになりますが、床についた跡に対するダメージよりもCH88と暮らす満足感の方がはるかに大きく、気になりません。
ですが、今後必要になった時のためにダイニングに敷くラグはのんびり探していきたいと思います。
愛着の持てるチェアを
家具は新築や引越しの機会に買い揃える方が多いかと思います。
人生に何度もないそのタイミングは、心地よい暮らしをつくるチャンス。
その第一歩として、身近な生活道具であるチェアを好きなものにするのはいかがでしょうか。
毎日使うものだからお気に入りの一脚を!
一度にすべて揃えなくても、暮らしは少しずつ整えていけばいいと思います。
塩田家具にはたくさんの展示がございますので、ぜひ多くのチェアに触れ、座り比べてみてください。
スタッフ 酒井