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アルネ・ヤコブセン ポップアップイベント開催しています!(12月6日(土)-1月13日(火)上田市 塩田家具)

こんにちは。塩田家具リヴリアのベップです。

12月6日からスタートした「アルネ・ヤコブセン ポップアップイベント」も、あっという間に開催から一週間が経とうとしています。

正直なところ、「アルネ・ヤコブセンの名前に、どれだけの方が興味を持ってくれるんだろう…」と、はじまる前は少し不安もありました。

けれどふたを開けてみれば、たくさんの方にご来場いただき、スタッフ一同とても嬉しく思っています!

今回は、イベントの見どころとともに、「アルネ・ヤコブセンってどんな人?」というところを、ご紹介できればと思います。

見どころ①現行のヤコブセン作品が勢ぞろい!長野県で見れるのは塩田家具だけです。

会場には、フリッツ・ハンセンから現行で販売されているアルネ・ヤコブセン作品がすべて揃っています。

たとえば写真の中央に写っている、直線的なフォルムが印象的なレザーの椅子、「オクセン(Oksen)」。

この椅子を実際に見られる機会は、私たちのように日々北欧家具に触れているスタッフにとっても、なかなかありません。

オクセンは1966年、ヤコブセンが“自分のためのくつろぎ椅子”としてデザインしたもの。丸みのあるエッグチェアとはまったく逆の、ごつごつとした力強いデザインが特徴です。

その大胆なフォルムからは、どこか荒々しさのようなものも感じられ、ヤコブセンの作品の中でもかなり異色の存在。「彼が最後に遺した衝撃作」とも言われています。

ただ、当時はエッグチェアやスワンチェアのようなヒットにはつながらず、生産数もごくわずか。ですが近年、フリッツ・ハンセンによって復刻され、再び注目を集めています。

会場では、エッグチェアやスワンチェア、スワンソファも展示しています。

これらの家具は、1958年に「世界初のデザイナーズホテル」とも言われるSASロイヤルホテルのために、アルネ・ヤコブセンがデザインしたもの。まさに世界のデザイン史に残る名作です。

ファッション誌や映画など、ポップカルチャーの文脈でもよく目にすることがあり、「いつかはこんな椅子を…」と憧れを持っている方も多いのではないでしょうか。

見どころ②ヤコブセンの貴重な資料の展示

会場では、アルネ・ヤコブセンについて知ることができる書籍もご紹介しています。洋書が中心ではありますが、気になる方はぜひ手に取って、ゆっくりご覧ください。

あたりまえのことかもしれませんが、ちょっと知識があるだけで、ものの見え方ってガラッと変わるものですよね。

私自身も、この機会にヤコブセンのことをもっと深く知ったうえで、そのデザインをより楽しみたいなと思っています。

見どころ③ヴィンテージチェアの展示

なんと、フリッツ・ハンセン ジャパン 鈴木社長の私物であるヴィンテージチェアも一部展示しています。

長年大切に使い込まれてきた貴重な椅子たち。

成形合板の表情やステンレススチールの脚部など、素材が時を重ねることでどんなふうに味わいを深めていくのかをご覧いただけます。

同じモデルでも、現行品と並べて見比べていただくことで、仕上げの違いや素材の経年変化、ちょっとした曲線の違いを体感できるのは、この機会ならではの楽しみ方。

「使い込むほどに美しくなる」と言われる北欧家具の魅力を、実際に目で見て、感じていただける展示になっています。

アルネ・ヤコブセンってどんな人?

北欧デザインといえば、シンプルで美しく、でもどこかあたたかい。

そんな北欧デザインの世界観をつくりあげた人物のひとりが、今回ご紹介するアルネ・ヤコブセンです。

家具や照明だけでなく、建物やドアノブ、カトラリーに至るまで、すべてを一貫してデザインしたヤコブセン。

その美意識は今も色あせることなく、世界中で愛され続けています。

ここからは、そんなヤコブセンがどんな人だったのか、その人生とデザインの背景をご紹介したいと思います。


絵を描くのが大好きだった少年時代

1902年、コペンハーゲンに生まれたヤコブセンは、子どもの頃から絵を描くのが大好きでした。

学校の先生もその才能に驚いたほど。

でも、父親は「画家では食べていけない」と大反対。そこでヤコブセンは、芸術の夢をあきらめずに活かせる道として、建築の世界を目指すことにしました。

王立芸術アカデミーで建築を学びながら、彼の感性はますます磨かれていきます。


はじめての大きな挑戦「未来の家」

学生時代から頭角を現していたヤコブセンは、卒業後すぐに注目の建築コンペで入賞します。1929年、親友のフレミング・ラッセンと一緒に提案した「未来の家」は、円形の建物に屋上ヘリポートやボートガレージまで備えた、まさに未来的な住まいのかたち。

この家をきっかけに、彼の名はデンマーク国内で知られるようになります。


海辺のリゾートも、まるごとデザイン

1930年代には、ヤコブセンが子どもの頃に過ごした郊外のベルビューという海辺の街で、大きなリゾート開発を手がけます。

ビーチ施設や住宅、劇場、さらにはガソリンスタンドまで、すべてをトータルにデザイン。

建物のかたちも色づかいも、それまでの伝統的なものとはまったく違っていて、「これが未来のデンマークかも」と人々をワクワクさせました。


亡命先で咲いた、植物への愛

第二次世界大戦がはじまり、デンマークがナチスに占領されると、ユダヤ系だったヤコブセンはスウェーデンへ逃れます。

建築の仕事が思うようにできない中で、彼が心のよりどころにしたのが、幼いころから描き続けていた植物の絵でした。

妻のヨナと協力して、植物の水彩画を生地や壁紙の柄にして発表。スウェーデンの百貨店で販売されるまでになります。

「もしもう一度人生をやり直せるなら、庭師になりたい」そう語るほど、植物を愛していたそうです。


世界初のデザインホテル

戦後、デンマークに戻ったヤコブセンが手がけた代表作のひとつが、1960年に完成した「SASロイヤルホテル」です。

外観はモダンなガラス張りの高層ビル。でも本当にすごいのは中身です。ロビーの家具も、客室のドアノブも、照明も、カトラリーもすべてをヤコブセンがデザインしました。

ここで誕生したのが、有名な「エッグチェア」や「スワンチェア」、そしてかわいらしい「ドロップチェア」。今見ても新しく、ホテル全体がまるで芸術作品のよう。ヤコブセンのすべてをデザインするという姿勢が、最もよく表れている建築です。


デンマークデザインを変えた、もうひとつの流れ

当時のデンマークでは、コーア・クリントという建築家が「モダン家具デザインの父」として大きな影響力を持っていました。多くのデザイナーが彼の教えに従っていた中、ヤコブセンはバウハウスの機能主義など海外の動きにも目を向け、新しい流れを作り出します。

だからこそ「非クリント派」とも呼ばれ、最初は周囲から批判されることも。でもヤコブセンは、自分の美意識を貫き通しました。


ヤコブセンの魅力

ヤコブセンの生涯と人となりは、今なお多くの人々を魅了しています。

巨匠の人となりを知れば、デザインの世界が一層身近に感じられると思います。
ぜひぜひイベントへのご来場お待ちしております!

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