宮崎椅子製作所が復刻しているデンマークデザイン

こんにちは、塩田家具の別府です。
今回は、徳島県の家具メーカー「宮崎椅子製作所」が手がけている、デンマークデザインの家具についてご紹介したいと思います。
宮崎椅子製作所というと、日本の木工技術の高さや、職人の手仕事による丁寧な椅子づくりを思い浮かべる方も多いかもしれません。
ただ、宮崎椅子製作所の面白いところは、日本国内のメーカーでありながら、北欧デザイン、とくにデンマークの名作家具を現代の暮らしに合わせて復刻しているところにあります。
現在、宮崎椅子製作所では、デンマークのデザイナーであるカイ・クリスチャンセン、そしてクリスチャン・ヴェデルの家具が製作されています。
どちらもデンマーク家具の黄金期を語るうえで欠かせないデザイナーですが、ウェグナーやヤコブセンほど名前が広く知られているわけではありません。
けれど、実際に椅子に触れてみると、線の美しさ、座ったときの自然さ、空間に置いたときの佇まいに、なるほどこれは長く残るデザインだなと感じます。
今回は、宮崎椅子製作所が復刻しているデンマークデザインの中から、いくつかのアイテムをピックアップしてご紹介いたします。
Contents
宮崎椅子製作所がつくる復刻の魅力

復刻家具というと、単純に昔のデザインをそのまま再現したもの、というイメージを持たれるかもしれません。もちろん、オリジナルの意匠や雰囲気を大切にすることは前提です。
ただ、宮崎椅子製作所の復刻は、そこからもう一歩踏み込んでいます。
当時のデザインを尊重しながらも、現代の暮らしに合う座り心地、木部の加工精度、張りの仕上げ、使いやすさまで丁寧に見直している。
だから、ヴィンテージ家具のような空気感を持ちながら、日常の家具として安心して使えるのです。
これは、インテリアショップの店頭でご案内していても、かなり大きな魅力だと感じます。
北欧ヴィンテージの雰囲気は好きだけれど、状態やメンテナンスが少し不安。
でも、量産品のような家具では少し物足りない。
そういう方にとって、宮崎椅子製作所がつくるデンマークデザインは、ちょうど良い選択肢になると思います。
Kai Kristiansen / カイ・クリスチャンセン

カイ・クリスチャンセンは、1929年生まれのデンマークの家具デザイナーです。
1950〜60年代のデンマーク家具黄金期に活躍し、現在でもヴィンテージ市場で高い人気を持つデザイナーの一人です。
クリスチャンセンの家具は、ぱっと見たときに派手な装飾があるわけではありません。
けれど、よく見ると背もたれの角度、アームの削り方、脚の細さ、座面とのバランスなど、細部にかなり神経が通っています。
静かだけれど、ちゃんと美しい。
その控えめな存在感が、カイ・クリスチャンセンの家具の魅力だと思います。
No.42

カイ・クリスチャンセンの代表作として、まずご紹介したいのが「No.42」です。
1960年代にデザインされた椅子で、現在でもクリスチャンセンを代表する一脚として知られています。
No.42の特徴は、ハーフアームと角度の変わる背もたれ。

この背もたれが本当に良くできていて、座る人の動きに合わせるように、自然に身体を受け止めてくれます。
ダイニングチェアとして使える上品さがありながら、食後に少しゆっくり座っていたくなるような快適さもあります。
個人的には、ただ食事をするための椅子というより、ダイニングで過ごす時間そのものを少し豊かにしてくれる椅子、という印象です。
ハーフアームなので出入りもしやすく、アームチェアほど大きく見えすぎないのも魅力です。
北欧家具らしい軽やかさと、座ったときの安心感。その両方を持っている椅子だと思います。
UNI Senior / ユニシニア

UNI Seniorは、もともと「#4110」としてデザインされた椅子をベースに、宮崎椅子製作所が復刻したモデルです。
アームのないシンプルなダイニングチェアですが、背もたれや座面のゆるやかな曲線がとても美しく、見た目以上に身体をしっかり支えてくれます。
アームがない分、テーブルにすっきり収まりやすく、日常使いしやすいのもポイントです。
椅子を何脚か並べたときにも重たく見えにくく、空間全体を軽やかに見せてくれます。
北欧デザインらしい端正さがありながら、日本の住まいにも自然に馴染むサイズ感。
このあたりは、実際に店頭でご覧いただくと伝わりやすい部分かもしれません。
UNI Master / ユニマスター

UNI Masterは、UNI Seniorの流れを汲みながら、よりゆったりと座れるアームチェアとして展開されているモデルです。
特徴的なのは、幅のあるアームと、少し余裕のある座面。
この椅子は、ダイニングチェアでありながら、食後もそのままくつろげる椅子という感じがあります。
お客様とお話ししていても、最近は「食事だけでなく、ダイニングで本を読んだり、コーヒーを飲んだり、長く過ごしたい」という方が増えています。
そういう暮らし方には、UNI Masterのような椅子がとても合います。
木部の見え方もきれいで、特にアームまわりの仕上げには宮崎椅子製作所らしい丁寧さを感じます。
Paper Knife Sofa / ペーパーナイフソファ

カイ・クリスチャンセンのソファとして代表的なのが、Paper Knife Sofaです。
もともとは1956年にデザインされた「121シリーズ」をもとに、宮崎椅子製作所が復刻したソファです。
名前の由来にもなっている、ペーパーナイフのように細く削り出されたアームが印象的です。

横から見たときのシルエットがとてもきれいで、木部のフレームがしっかり見えるため、ソファでありながら軽やかに見えます。
北欧ヴィンテージのソファが好きな方にとっては、かなり心をくすぐられるデザインではないでしょうか。
張地や木部の樹種の選択肢も豊富で、自分の暮らしに合わせて選ぶ楽しさがあります。
UNIVERSE SOFA / ユニバースソファ

ユニバースソファも、カイ・クリスチャンセンによるデザインです。
1966年にデザインされたモデルで、宮崎椅子製作所から復刻されています。
このソファの面白さは、使い方の自由度にあります。

アームレスのタイプや片アームのタイプを組み合わせることで、空間に合わせていろいろな置き方ができます。
片アームタイプは左右が固定されているわけではなく、向きを変えることでアームの位置を変えられるような感覚で使えます。
正面から座るだけでなく、少し斜めに身体を預けたり、横向きに腰掛けたり。
きちんとしたソファでありながら、使い方に余白があるのが良いところです。

背面から見ても木部のフレームが美しく、リビングの中央に置いても絵になります。
壁付けにしなくても美しいソファというのは、意外と少ないです。
Kristian Vedel / クリスチャン・ヴェデル

もう一人ご紹介したいのが、クリスチャン・ヴェデルです。
クリスチャン・ヴェデルは、1923年生まれのデンマークのデザイナー。家具だけでなく、プロダクトデザインの分野でも知られています。
ヴェデルのデザインには、機能性や人間工学への意識が強く感じられます。
ただ形がきれいというだけではなく、どう使うか、どう組み合わせるか、どう暮らしの中で機能するか。
そういう考え方がデザインの奥にあります。
カイ・クリスチャンセンの家具が、線の美しさや木部の繊細さで魅せるとしたら、ヴェデルのMODUSシリーズは、構成の面白さやモジュール性に魅力があります。
MODUS easy / モデュスイージー

MODUS easyは、クリスチャン・ヴェデルが1960年代にデザインしたMODUSシリーズのイージーチェアです。
共通するスクエアフレームを使い、チェア、オットマン、テーブルなどを組み合わせられるモジュール性が特徴です。

いかにも北欧ヴィンテージらしい低めのプロポーションで、空間に置いたときの雰囲気がとても良い椅子です。
背からアームへとつながる包み込むような形。
直線的な木部フレームと、身体を受け止めるクッションのバランス。
このあたりに、MODUSらしい魅力があります。
大きなラウンジチェアのように主張しすぎず、けれど一脚あるだけで空間の印象をしっかりつくってくれる。
リビングの一角や、寝室、書斎、音楽を聴く場所などに置いても良さそうです。
MODUS Table / モデュステーブル

MODUSシリーズには、テーブルも用意されています。
チェアやオットマンと同じモジュール感を持ったテーブルで、リビングまわりに置いたときに統一感が出ます。
ソファ横のサイドテーブルとして使ったり、MODUS easyと合わせて小さなラウンジスペースをつくったり。
サイズとしてはコンパクトですが、MODUSシリーズの世界観をつくるうえでは大事な存在です。
家具を単体で選ぶというより、ひとつのコーナーとして整えたい方には、チェア・オットマン・テーブルの組み合わせもおすすめです。
MODUS Dining Chair / モデュス ダイニングチェア

MODUSシリーズには、ダイニングチェアもあります。
宮崎椅子製作所により、現代のダイニングシーンに合わせて再構成されたモデルです。
MODUS easyのようなラウンジ感とはまた違い、食卓まわりで使いやすいサイズ感と座り心地に整えられています。
アームタイプとサイドチェアタイプがあり、空間や使い方に合わせて選べるのも魅力です。

ダイニングチェアとして見ると、少し個性的です。
けれど、奇抜というよりは、きちんと品がある。
北欧家具らしい落ち着きと、宮崎椅子製作所らしい木部の精度が重なって、かなり完成度の高い椅子だと思います。
日本のものづくりで、デンマークデザインを日常に
宮崎椅子製作所が手がけるデンマークデザインの家具は、ただの復刻品ではありません。
デンマーク家具の黄金期に生まれたデザインを、日本の職人が現代の暮らしに合わせて丁寧につくり直している家具です。
ヴィンテージ家具には、当時の空気感や経年の魅力があります。
一方で、宮崎椅子製作所の復刻家具には、新品として安心して使える品質と、張地や樹種を選べる楽しさがあります。
北欧デザインが好きな方。
長く使える椅子やソファを探している方。
人とは少し違うけれど、奇抜ではない家具を選びたい方。
そういう方には、ぜひ一度見ていただきたい家具たちです。
家具は、写真だけでは分からない部分がたくさんあります。
背中の当たり方。
アームに手を置いたときの感触。
座ったときの重心の落ち着き方。
木部の削り出しの美しさ。
こういった部分は、やはり実際に座ってみるのが一番です。
塩田家具では、宮崎椅子製作所の家具を展示しながら、樹種や張地、サイズ感、暮らしの中での使い方までご相談いただけます。
カイ・クリスチャンセン、クリスチャン・ヴェデル。
デンマークで生まれた名作家具を、日本のものづくりで日常に迎える。
そんな選び方も、家具を長く楽しむうえで、とても良い選択肢だと思います。