土井木工 BⅡソファについて
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空間の主役にふさわしい、土井木工「SOFA BⅡ」
北欧の家具や照明のように、軽やかで柔らかなデザインが注目を集める中、
その対極にある“重厚で彫刻的な美しさ”を持つソファがあります。
広島・府中の家具メーカー「土井木工」が手がける「SOFA BⅡ」。
そこには、日本の木工技術と素材への深い敬意が詰まっています。
塩田家具の最近の投稿では「北欧家具」や「北欧の照明」などを中心にご紹介してきましたが、
今回は少し趣を変えて、“日本の技術が生んだ本格ソファ”に目を向けてみたいと思います。

土井木工とはどんなメーカーさんなのか?
婚礼家具の産地として知られる広島県府中市でに工場を構えています。
創業は昭和24年。
材料の現地買い付けから自社工場での製作まで一貫して行い、確かな目と技で“本物の木の家具”を生み出してきました。
そんな土井木工が2003年に立ち上げたブランドが「AUTHENTICITY(オーセンティシティ)」。
日本の木の伝統と文化を受け継ぎながら、世界に誇れるデザイン性を追求したシリーズです。
イタリアなど海外ブランドが高級家具として注目を集めていた時代に、“日本の技術でつくる美しい家具”として業界に大きな衝撃を与えました。
そして2009年、そのブランドを象徴する存在として登場したのが「SOFA B」。
そこからさらに進化を遂げたのが、今回ご紹介する「SOFA BⅡ」です。
建築物のように美しい後ろ姿

土井木工はあえて後ろ姿のデザインに挑戦しました。
「SOFA BⅡ」は360度どこから見ても美しく、背面はまるで建築物のような立体感。
この造形を支えるのが、特許を取得した蟻組(ありぐみ)とフィンガージョイントです。
伝統的な木組みの技法をCNCルーターで数値制御しながら加工することで、職人技とテクノロジーが融合した精密な構造を実現しています。

アーム部分は一本の木目でつながったウッドフレーム。
木材が持つ流れるような木目の美しさを活かすため、丸太の段階から選び抜かれた素材が使われています。
極上の座り心地を生むトリプル構造

クッションは、55kg/m³と38kg/m³の高密度ウレタンフォームを2層に重ねた構造。
その上に、ハンガリー産マザーグースのスモールフェザーを贅沢に使用しています。
イタリア製のウェービングテープがしっかりと体を支えながら、フェザーがやわらかく包み込む。
座った瞬間に感じる「モッチリ」「しっとり」とした感触は、まさにBⅡならではの上質な座り心地です。
世界が認める素材と日本の技
フレームには、アメリカ産のブラックウォールナット、ブラックチェリー、グレーシャーオークの3種類を使用。
いずれも厳選された無垢材で、豊かな木目と経年による深みが魅力です。
中でもブラックウォールナットは、チーク・マホガニーと並ぶ世界三大銘木のひとつ。
土井木工では1970年代からウォールナットを使用しており、婚礼家具の時代から続く独自の木取りの技を今も受け継いでいます。

木材は北海道や北米の製材所で仕入れたものを使用し、木目・色・香り・節の表情まで一つひとつ吟味。最高級のグレードのウォルナットを使用しています。
自然素材の塗装が生む、深い艶
「SOFA BⅡ」に採用される塗装は、蜜蝋ワックス塗装またはオイル塗装。
どちらも自然素材を主成分とし、木の呼吸を妨げない仕上げです。

蜜蝋ワックスには、ドイツ・リボス社の「SOGO HARD WAX」を使用。
VOC(揮発性有機化合物)を含まず、安心で環境にもやさしい塗料です。
塗り直しができるメンテナンス性の高さも魅力で、使うほどに木肌の艶が増していきます。
一方、オイル塗装には大阪・大谷塗料の「VATON」シリーズを採用。
食品衛生法にも適合した植物油脂性の塗料で、安全性と自然な仕上がりを両立しています。
AUTHENTICITYが描く、日本の家具の美学
土井木工の家具には、伝統の技と現代的な感性の両方が息づいています。
BⅡソファの背面に見られる木組みの美しさは、その象徴。
正面から見ても、背面から見ても、横から見ても完成された姿。
リビングのどこに置いても絵になるソファです。
土井木工「SOFA BⅡ」は、家具でありながら一つの建築作品のよう。
そこに置くだけで空間の重心が整い、暮らしの中に静かな存在感を放ちます。
見た目の美しさだけでなく、使い心地や素材への誠実さまで含めて、“本物の家具”と呼べるソファです。
