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家具を学ぶということ。カール・ハンセン&サンの勉強会へ行ってきました

こんにちは。塩田家具の別府です。

カール・ハンセン&サン 長野県

7月1日(水)、カール・ハンセン&サン東京本店へ勉強会に行ってきました。(メモ用の写真なので、最悪の品質ですみません・・・笑)

昨年も参加させていただいたカール・ハンセン&サンの勉強会。講師は、カール・ハンセン&サンのトレーナー郡司さんです。

YouTubeで見かけない日はないのでは、というくらい、さまざまなインテリア系のチャンネルにも出演されている方なので、家具やインテリアの動画をよく見る方なら「あ、あの方か」となるかもしれません。笑

郡司さんのお話は、いつもアカデミックでありながら、とても聞きやすい。カール・ハンセン&サンの家具のこと、デンマーク家具の歴史、そして家具を取り巻く文化まで、難しい話を難しいままにせず、こちらの頭にちゃんと届く言葉で伝えてくださいます。マニアックなお話は、ロマンが詰まっていて毎回ワクワクします笑

言い回しや着眼点もとてもユニークで、家具屋のスタッフにとっては基礎ともいえるようなテーマであっても、毎回必ず新しい気付きがあります。

なので、郡司さんの勉強会はできるだけ参加したいと思っています。東京まで行くのは正直少し大変なのですが、それでも行く価値がある。毎回そう思わせてくれる勉強会です。

今回、写真は本当にあまり撮っておらず……笑
ショールームにカスタールのラグがコーディネートされていたので、そこだけ記録用に少し撮影しました。申し訳程度ではありますが、写真も一緒にご覧いただければと思います。

カスタール 長野

今回の勉強会で、改めて強く感じたことがあります。

それは、家具とは単なる道具ではなく、文化的なものであり、暮らしの質に直結するものだということです。もっと言えば、人の幸福にも深く関わっているものなのだと思います。

世界幸福度報告書の2026年版では、デンマークは世界2位。日本は61位です。もちろん、幸福度というものは数字だけで語れるものではありませんし、デンマークの家具があるからデンマーク人が幸せ、という単純な話でもありません。

けれど、住まいや暮らしに対する考え方には、やはり大きな違いがあるように感じます。

デンマークでは、家で過ごす時間や、家族や友人と食卓を囲む時間がとても大切にされています。椅子やテーブル、照明といったものは、ただ生活に必要だから置くのではなく、日々の時間をどう過ごすかに関わるものとして選ばれている。

そこに、デンマーク家具の強さがあるのだと思います。

Yチェア 長野

カール・ハンセン&サンは、1908年にデンマークのオーデンセで創業した家具メーカーです。小さな家具工房から始まり、現在ではハンス J. ウェグナーをはじめ、コーア・クリント、ボーエ・モーエンセン、ポール・ケアホルムなど、デンマークデザインを語る上で欠かせないデザイナーたちの家具を製造しています。

なかでも代表的な椅子であるCH24、いわゆるYチェアは、ウェグナーが1949年にカール・ハンセン&サンのためにデザインし、1950年から今に至るまで作り続けられている椅子です。

Yチェアは、あまりにも有名な椅子なので、名作椅子として見られることが多いと思います。もちろん、それは間違いではありません。

ただ、改めて話を聞いていると、名作である以前に「毎日の暮らしの中でちゃんと使われるための椅子」なのだと感じます。

座りやすいこと。丈夫であること。美しいこと。長く使えること。
そして、特別な日だけでなく、いつもの食事や、何気ない会話の時間に自然となじむこと。

そこまで含めて、デザインなのだと思います。

Yチェアの製作には100以上の工程があり、座面のペーパーコードは今でも職人の手で編まれています。約120mものペーパーコードを使い、1脚ずつ仕上げられていく。

そう聞くと、あの軽やかな椅子の中に、驚くほど多くの手間と技術が込められていることが分かります。

今回のお話の中で印象に残ったのが、カール・ハンセン&サンが創業時から大切にしているという「適正価格」という考え方です。

Yチェアは、仕様によって価格は異なりますが、現在でも11万円台からお選びいただける椅子です。決して安い買い物ではありません。けれど、その背景を知ると、価格の見え方が少し変わります。

たとえば、材料となる木材。ビーチ材であれば樹齢120年以上、オーク材であれば樹齢120〜200年ほどの木が使われると伺いました。

木材 カールハンセン

人の一生よりも長い時間をかけて育った木を使い、そこから100以上の工程を経て、職人の手で仕上げられていく。さらに、デンマークの製造現場における人件費は日本の3〜4倍ほどともいわれます。

そして完成した家具は、約2カ月かけて船で日本まで運ばれてきます。

そう考えると、Yチェアの価格は単に「ブランドだから高い」というものではないのだと感じます。

良い材料を使い、きちんとした技術でつくり、長く使えるものとして届ける。
その上で、できるだけ多くの人に納得して選んでもらえる価格にする。

これが、カール・ハンセン&サンのいう「適正価格」なのだと思います。

家具屋として店に立っていると、ついサイズや価格、納期、仕様といった現実的な話が中心になります。もちろん、それはとても大切です。家具は暮らしの中で使うものなので、使い勝手や寸法が合っていなければ意味がありません。

ただ、それだけでは家具の本質には届かないのかもしれません。

この椅子を置いたら、食卓の時間がどう変わるのか。
このソファで過ごす夕方が、どんな時間になるのか。
この照明の下で、本を読んだり、お茶を飲んだりする時間が、少しでも心地よいものになるのか。

そういうところまで想像してご提案することが、私たち家具屋の仕事なのだと、改めて感じました。

良い家具は、買った瞬間だけで完結するものではありません。

むしろ、そこから始まっていくものだと思います。
毎日使って、少しずつ馴染んで、傷や色の変化も含めて、その人の暮らしの一部になっていく。

そして気がつくと、その家らしさをつくっている。

今回の勉強会は、カール・ハンセン&サンの家具について学ぶ時間でありながら、家具を扱う仕事そのものについて考える時間でもありました。

家具は、暮らしの道具です。
でも同時に、文化であり、時間であり、人の気持ちに触れるものでもあります。

そんな家具を扱っているのだということを忘れずに、これからも店頭でお客様と向き合っていきたいと思います。

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